社会人

社会人とは1924年から32年にかけて、ウエスタンエレクトリック社のホーソン工場の女子従業員を被験者にして行われた、一連の研究をもとにして、研究実施者のメイヨーらが打出した組織上の人間観で、組織においては、仲間同士や監督者との間の親密な人間関係が、物理的な作業条件以上に、人々の作業意欲や満足感に強く影響するという見方です。この社会人イメージの土台となるものは、次のような人間についての諸仮定です。
個人は基本的に社会的欲求によって動機づけられ、仲間との関係を通して、基本的な一体感をもつ。工業化の進行とともに、仕事のやり方が合理化された結果、仕事そのものの中には仕事の意義が求められにくくなり、そのため仕事を通じての社会的関係の中に意義を求めざるをえなくなった。個人は、管理者が与える経済的刺激やコントロールよりも、むしろ、仲間集団の社会的力に感応する。個人は、管理者が部下の社会的欲求や受入れられたいという欲求を充足しうる程度に応じて管理者に感応する。
この社会人イメージによれば管理者は、部下の仕事の進行にだけ注意を限るぺきではなく、部下の欲求によって、多くの注意を注ぐべきだということになります。また、部下の感情、特に受容、帰属感、一体感といったものに対して関心を持つべきです。そして管理者の役割は、計画し、組織を作り、部下を動機づけ、コントロールするといったものから、従業員と上層管理層との仲介役になって、部下の言うことに耳をかたむけ、部下の欲求や感情を理解しようと努め、部下の欲求や感情に対する配慮と共感を示すものに変わらなければならないということになる。このようにして、管理者から従業員のほうへ仕事の主体性が移り、管理者はコントロール一本槍の人であるよりも、部下の仕事を客易にする人、あるいは部下に対する共感的な支持者と考えられるようになりました。

時代と感覚

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