自己実現人
技術革新の時代となり、新たに組織の中で研究、開発部門の比重が増すにつれて、組織内の科学技術者など創造的人間にとっては、自己実現欲求が動機付けの中心的要因となります。自己実現人はこうした人間観での仮説です。したがって、管理職や専門職の人、あるいは教育程度の高い人にあてはまる考え方で、ここでの人間についての仮説は次のようなものです。人間の動機は階層化された、幾つかのクラスからなり、それは生存、安全、保障を求める欲求、社会的欲求及び認められたいという欲求、倒自我の満足を求める欲求及び自尊の欲求、自立と独立の欲求、自分のあらゆる資質を最高度に利用するという意味での自己実現の欲求。そして、より低次の欲求が満たされると、より高次の欲求が触発されます。
人間は仕事の上で成長することを求め、また成長する能力を実際に持っています。個人は本来的に内的に動機付けられ、自己コントロール的です。すなわち外部から課される刺激やコントロールはむしろ人を脅かし、適応を未熟にさせます。自己実現と組織の効果的な運営は、本来的には矛盾しません。適切な機会さえ与えられれば、人間は自発的に自分の目標と組織の目標とを統合します。この人間観に立脚したマネジメント技術としては、作業の単純化からくる緩慢を除去するために、職務の責任範囲を拡大することの重要性を強調する職務拡大や業績目標をメンバー個人に設定させる目標管理などがあります。

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